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 ココニイル僕ノ事情……



 いつの間にか、外の風が冷たくなった。

 途方に暮れる街角に冷たくなった風が吹いて、僕はまた季節が一つ通り過ぎていたのだと知った。
 きっと、辺りの景色もそれに染まっているはずだけど――
 今の僕にはどうでもいいことだった。

 人々の往来の中で遣る瀬無く立ち止まると大きな街路樹に目が止まった。
 
『人間には他の動物よりも遥かに多くの色彩を認識する能力を持っている。つまり、―― 』

 ―― “色覚”という感覚がどの動物より発達しているという。
 高校時代。生物の先生が零れ話程度に話したのを何となく思い出していた。 
 試験や受験に全く関係ない与太話にそんなこと当然だ。分かりきっている。

 その時はそう思っていた。

 僕は、そのまま視線を上向ける。じっと見つめて、この木の傍らでぼんやり佇んだ。僕の背丈よりも遥かに高い樹木には、疎らだけど扇型の葉っぱが残っている。そこへ突然、大風が吹いて、残っている葉っぱを揺らす。
 
 たかだか一迅の風に吹かれ、数枚の葉っぱが吹き飛ばされる。舞って落ちる銀杏の葉。
 これまで仲睦まじく、大樹に寄り添っていた葉っぱ達がいとも簡単に飛ばされていく。まるで、さよならと手を振るようにはらはらと。
 僕は散っていく葉の一枚に心を重ねて、この世の果敢なさに息が詰まった。
「嘘つけ…… 」
 と、一言漏らした。堪らなくて、そう言った。
 多彩な色? そんなものがどこにあるんだ? 僕の心は、いつしかそう叫び出す。
 ここに来るまで僕が目にしていたのは味気ない灰色だけ。
 まるで何かを燃やした跡のような灰そのものの色。
 その灰は僕の肩から背中に降り積もっているように僕の背中を丸めさせる。降り積もって、僕を苦しめる。胸の内では誰にも届くことのない悲鳴を繰り返す。
 僕の苦しみを知らない脳天気なカップル達。目の前を過ぎって、僕の袂を擦り抜けていく。その度、脳の片隅で過去の彩りが鮮明に駆け抜ける。

 …… あんな風に腕を組んで歩いた。
 …… あんな風にじゃれ合った。
 …… あんな風に抱き合った。


 だけど、僕の記憶にあるその光景はどんなものよりも華やいで色付いていた。
 もう、『あんな』日々は僕には戻って来ないんだ。哀しみを押し殺して、ゆっくり顔を上げる。そして、容赦なく僕の視覚に入り込んだモノに堪らなくなって大きな溜息を吐いた。「また…… ここか…… 」

 世界平和を祈るモニュメントが勇壮でありながら、厳かに。何より僕に当てつけるように己の存在を誇示していた。
 まだ暑かった季節に僕たちは、「いつもの所で」と言っては、ここでよく待ち合わせをした。束の間、そんな頃の景色が脳裏を過る。それすら僕は、必死で打ち消す。
 しかし、僕の拒絶を蔑ろに網膜の中。その奥にもモニュメントがそびえ立ち、思い出したくないことを鮮明な映像にして僕に押し付ける。逆らうことが出来ない僕は、立ち竦むしか術を知らなかった。

 また、溜息を吐く。

 出て来たのは、もう溜息ばかりではない。
 頬に糸を張るような温かさを感じる。僕の体は魂が抜けてしまったように力を失う。トンッと膝をついて、前のめりに崩れていく。
「おい、君? 大丈夫かい? どうしたんだい? こんな所で」通りすがった老人が僕を見て、声を掛けてきた。
 僕はそれに応えられない。自分の内面と向き合うので精一杯だった。ただ、浸りたかったのかもしれない。
 懐しい一昨日までの思い出に…… あいつへの愛おしさに…… 何より今、この僕を押しつぶす惨めさにも…… かもしれない。

 涙腺の決壊をきっかけにして、全身の感覚が一斉に開いた。
 膝と手の平に感じるコンクリートの冷たさ。頬を伝っている雫の温かさ。コンクリートを掴むように引っ掻いて擦れた指先の痛み。
 思い出の中のあいつの声、匂い。
 五感は、責め立てるようにお構いなしに堰を切った。
 うおぉ、と言う僕の大声。目の前を覆い尽くすコンクリートの地表に点々と模様を作って、僕の切なさを形にした。
 そうやって、僕はこの街に向けて、胸を埋め尽くすほどの悲しみを訴えかけた。
 うわぁっ、ともう一度。僕は無自覚なままで大声を張り上げた。

 それからどのくらい時間が過ぎただろう?
 思い出の全てを嗚咽に紛らせ、吐き出して、辺りを見回す。現実の景色も次第に光が失せていく。
僕は脱力したままに立ち上がって、右足を一歩。ゆっくり踏み出した。
 相変わらず、冷たい風が吹いていた。雑踏の中、ぼんやりと歩いた。どこで果てるともないモノクロの風景。肺を満たすでもない僕を取り巻く街中の空気。僕を潰してしまいそうなこの星の重力。
 やたらと体が重く感じられた。体はふらふらと揺れて、視界は黒い縁取りで囲まれる。縁取りの黒はどんどん広がっている。ピンホールカメラみたいに。
「そうだった…… 」僕は、今頃になって、その原因を思い出した。
 一昨晩。サークル仲間の修平と徹夜で駄弁っていた。そのまま、大学に行って、その夕方…… 僕はフラれた。
 眠れなくなった僕を今になって睡魔が襲う。
 気晴らしの散歩のつもりで外に出たがこうなることは全く予想していなかった。結局、“気晴らしの散歩”で出来たことは、自らの古傷を抉るだけの自損行為でしかなかったようだ。
 バカみてぇ、と自笑する。呆れ笑いはすぐに欠伸に変わった。
 笑ったら、途端に睡魔は攻勢を増す。さらに一度。大きな欠伸をする。僕は今いる場所で立ち止まり、一先ず休めそうな場所を探した。ベンチでも…… 映画館でも…… とにかく腰を落ち着けられたら、そこで座って休もう。
 暫く見回し、座るのに良さそうなオブジェの台座を見つけた。街頭に立つ犬のオブジェは、笑うように僕を見詰める。犬は嫌いじゃない。僕は誘われるように近づいて、その犬の傍らに座る。
 やっと眠れる。僕はさっきまでのセンチメンタルな自分を思い出して、可笑しくなった。思わず鼻で笑った。
 騒がしい街の騒音。次第に和らいでちょっとしたBGMになっていく。時々、こつこつ、と聞こえる靴音は、まるでおやすみと言っているかのように――
 背中にはブロンズの冷たさが蔓延っているが、寧ろ、それが心地よいとも感じる。

 目の前の風景は、縁取りの中へ。細く、細く。そして、暗くなっていく。
 昂ぶっていた感覚もやがて――

「?!」
 突然、鼻を弄られた感覚にぱっちりと目を開く。

「ねえ、キミ? 大丈夫なの?」
 女の人の声に震えて、心が反応し、色覚は数時間ぶりに躍動していた。
 次々に忘れかけていた色の世界が僕の双眼に雪崩れ込む。
 艶やかに色めく唇の赤。透き通った指先の白。潤ったその先で輝く瞳の栗色。そして、一本一本がシルクのようにきらめく髪の亜麻色。モノクロの中で鮮やかな〈彼女色〉だけが僕の脳を刺激した。 
 ~序

『ヤクシャ』
 かの存在について考えない日。私にそんな日はない。

『薬叉(やくしゃ』 ヒンドゥー教の精霊にして、仏教の悪鬼。
 前者では、創造神ブラフマーによって創られ、富の神クベーラに仕えた精霊。天上の秘宝の番人として畏れられ、また崇められた。後者ではおぞましい異形を持ち、人肉を貪り、生き血を啜る悪魔として語り継がれている。
 ヒンドゥー教と仏教。共に人類の灯火たる宗教。人に叡智を齎し、幸福を授けるという同じ目的を有しながら、ちょっとした考え方の違いで善きものにも悪しきものにも解釈される『薬叉』
 ヒンドゥー教の伝承があまり語られない日本に於いては『夜叉(やしゃ)』として広まり、悪しきものの象徴として位置づけられた。
 
 そう…… 日本では……

『真理』とは何を信じるか? 何を信じようとするか? また、信じまいとするのか?
 その選択、何れかで捉え方、考え方は大きく変わってくる。

 
 それは『幸せ』にも似ている。

 個々の人格、価値観でそれに纏わる捉え方は、まるで違う。
 健康を害し、貧しさの中にあっても自らを幸福だと微笑む者もいれば、地上の富や名声を手に入れていながら、自らを不幸だと嘆く者もいる。そして、それぞれに幸せを求める。
 人は誰しも「幸せになりたい」という同じ目的を持っている。そこに向かって、ひたすらに日々を過ごしている。
 なのに、ほんの少しのスレ違い、ボタンの掛け違い。そのタッチの差である者は高らかに笑い、ある者は啜り泣く。

 だからこそ、九年前のあの日。私は自分に誓った。

 啜り泣きながらも明日を信じる人達。
 そのささやかな希望を守るため……

 私は……
 日本のこの街で『薬叉』になる。
 
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便利屋を訪れた少女。
名前はニナ。12歳。
しかし、見慣れない女が出てきて動揺が隠し切れない。
大人の世界を垣間見たと勘違いして逃げ出すニナ。
そりゃウォリックのあの恰好を見れば、それも不可避でしょう。
ニナはなんとあの歳で大人顔負けの看護師らしい。
ニックにやたら懐いていて、ニックもニナを妹のように可愛がっている様子。

誤解を解いて、ニナの依頼内容を聞くとタグ付きに嫌がらせを受けているとか。
タグ付きってニックのあだ名かと思ってたら、特定の特別な種類の人を指すもののようです。

さっそくニナはニックと勤め先のテオ医院へ
ウォリックは先に野暮用を済ますと言って、窓の下にいるチンピラに眉を潜める。
そして何やらアレックスに頼み事。
ああ、アレックスに気を引いてもらってその隙に…… 殺しちゃったよ!!
ウォリック容赦ねえ!!
それはアレックスも気分悪くなるわ。
ウォリックのダーティーな物腰には今回も呆れたが、逆にこの作品の綺麗ごとのない潔さも感じます。

そして、件のテオ先生はタグ付きのチンピラに絡まれている。
タグを見ると“B/2”って書かれてる。
等級があるんですね?
そこへ到着したニック。
タグ付き同士の戦いが始まるわけですよ。

チンピラは大柄ながら軽やかな身の熟し。
これがBクラスの能力なんか?
しかし、そんなチンピラを軽くあしらうニック。彼が持つタグには“A/0”の刻印。
ニックは黄昏種(トワイライツ)と呼ばれる人種らしいです。
ちょっと調べたら、ちょっと感傷的になってしまった……(詳しく知りたい人はここにWIKI貼っときます

ニックの所業に戦くアレックス。対照的に「ニックは怖くないです」というニナ。
その時のニナの仕草がとても印象的でした。
アレックスもこれから徐々にニックに心を開いていくんでしょうかね?

そして、謎の組織のリーダーの登場。
もはや波乱しかない展開を思わせますね。
次の登場でウォリックとニックにどう絡んでくるのかハラハラドキドキです。


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この日を長いこと待ちに待った。
思い起こせば、20年前(ぐらい?)。
まだ、世の中を知らなかった僕は超常現象が大好きだったこともあり(矢追氏、五島氏の本が愛読書でした)、この『うしおととら』のおどろおどろしくもコミカルな世界観に魅了されていたもんです。
毎週水曜の登校途中に『週刊少年サンデー』をコンビニで立ち読みして、単行本も何冊か買いました。(注・僕は基本『マガジン』派です)
ちょっと本を束ねた段ボールを弄ってみるとありました。7巻だけですが……
丁度『おまえは其処で乾いてゆけ』の話でした。
いやあ、懐かしい。
何が懐かしいって出てきたナンパ車がハコスカって。時代を感じさせますね。

さて、そんな郷愁に浸りつつ、アニメ版のほうですが、たぶん、これ、今回の話は原作に忠実に再現してありましたよね?うろ覚えなんですが。
「え、これって20年前の漫画だっけ」って目が点に。いい意味で。
原作完結から随分と時を経ているというのにまったく遜色がない。
声優さんの選出やBGMやらも込みで世界観の補完はほぼ出来ていたと思うし、展開もテンポ良くてストレスなく見れました。
特に真由子のほんわかとした感じが心を和ませますね。
まあ、戦闘シーンはというと1話目ということでお約束の楽勝パターンなんですが、うしおが槍と同化する演出はもっとホラーな感じでもよかったんじゃないかと……
まあ、個人的にですけどね。

あ、OPの筋肉少女帯って、やっぱり、あのころの世代を狙ってのことでしょうかね?
確か、バンドブームとかあったころじゃないですか?
久々の大槻ケンヂにぶっ飛びました。
いいですね。筋少。

特に文句つけるところもないし、こんな感じで続くのなら、きっと良作になるのは間違いないんでしょう。
次回が楽しみです。





GANGSTA. 1 (BUNCH COMICS)GANGSTA. 2巻
GANGSTA. 1 (BUNCH COMICS)
GANGSTA. 2巻

正直なとこ、このアニメ大して期待していませんでした。
タイトルからして「やくざ者? ヤンキー漫画的なアレでしょ」って、右斜め下から見てました。

タフガイコンビの便利屋? 
マフィアに飼われる娼婦?
ド汚いマフィアのボス?
いわゆる固ゆで卵路線かなって。
もう、シティーハンターとかカウボーイビバップとかでやり尽された感満載じゃない?
……って思ってましたけど、禁止区域でヤラれるアレックス、さらにマフィアの始末をつけるシーンで戦慄が!!

なんという泥臭さか!
なんという血生臭さか!
主人公に有るまじきダーティさとヒロインに有るまじき汚れっぷり。人の業のリアルな描写にすっかり心を奪われてしまいました。

そして、終盤、アレックスを引き取ると言い出すウォリックを止めるチャド警部にマジ切れするニック。津田さんの好演が光る。
聴覚を失い、うまく話せないニックが必死に声を発するシーンには胸が熱くなった。

もう、いろんな意味でやられた感がパねぇです。
僕的には「もう、見るしかないでしょ?」って感じです。

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